Et in terra pax official BLOG | 2004年12月19日 <font face="Optima">Et i terra pax official BLOG</font>

18日

案の定、blogを設置すると毎日の書き込みが義務のように感じられて良くないなあと思いつつ、昨日18日の出来事を。

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夕方、朝昼晩を兼ねた食事を摂るため近所のスパゲッティ屋に入る。
3時過ぎから5時くらいまでの間に入店すると殆ど客がなく、ゆっくり食事できる。
この店のパスタは「デュラムセモリナ100%/無添加」なのだそうで、「口に含んだ時に身体に優しい滋養を感じ、食べ終わるまで食感、風味が失われず、食べ終わったあと自然と笑みがこぼれ、また食べたくなります」という店独自の定義を表現しているのだそう。
それにまんまと引っかかった感のある私は最近毎日のようにここを訪れ、毎回、「湯葉と牡蠣の豆乳スープパスタ」みたいなものを頼んでいるが、実際癒されているようで、温泉にでも入っているかのような満足気分を味わう。
些細な事を楽しめるたちで、娯楽に関してはいつも、なんと自分は安上がりな人間なのだろう、と思う。
このパスタの場合は多分、食材成分のトリプトファンとV.B6によるセロトニン増の結果だろうけれど。

そんな事をアレコレ考えながら柚一味をかけ足していると、5mほど離れた席のアベックの会話が聞こえてきた。
女性の話し声の抑揚が心地良く、どうしても耳に入ってくる。
良く聴いてみると、普通の日本人の若者が使うような日本語で喋っているのだけれど、音の流れが外国語のように美しい。
たまに「この人の話し方は訓練されたものだな」と思える女性に遭遇することがあるが、彼女のそれとはどうも違う。
おそらく天性のもの。小鳥が鳴くように自然に話す。…
歌うように流れる音(こえ)に聴き惚れ、愉しませてもらいつつ、パスタを食べながら、彼女の話し方は他とは何がどう違うのか分析してみた。

・比較的高音で早口だが、口の開きが小さく一文字一文字の輪郭がハッキリしない。
・話が文節でとぎれる事なく、必ず1センテンスが終わるまで同じテンポで続く。
・「2音」音が移動するのが一般的と思われる(例えばアナウンサーなどにみられるような)
 イントネーションの単語でも「半音」しか上がり下がりしていない。
 従って音から音への移動がstepを踏むのではなく、グリッサンドのようになめらか。
・結果、1センテンスがメロディーのように聞こえる。

うん、なるほど。
音がギスギスしておらずスムーズで、リズムの取り方がクラシック音楽のようなのだな?
いずれにしても、それが天性でない普通の話し方の人間は、かなり訓練しないとこうはならないだろう …。
と、考えているうちにDMJの飯名氏から電話が入る。
今夜はコンテンポラリー・ダンス・イヴェントを観に蕨市へ行く。

ほどなく店を出ると、携帯電話会社の店の前で踊っている‘ピンクの着ぐるみウサギ’に目が止まり、暫く遠巻きに眺めていた。
中に入っているのはごく普通の若い男性と思われる。
店頭に流れているプロモーション用のダンスミュージックで楽しそうに踊っている。
普通に。普通の若者が、クラブで何となくレイヴするように。
ひっきりなしに動いていないと屋外は寒いからというのも理由になるだろうが、着ぐるみに入っているからと言っても子供にこびるような可愛らしい動きをしていないところがとても面白く、飯名氏が到着するまで非常に愉しませてもらった。
まったく自分は安上がりだ(笑)

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埼玉県蕨市へ電車で移動。
イヴェントはDMJの田村氏が主催しており、40年以上前に立てられた趣深い家屋を改造したギャラリー「鉄線」で行われる。
ダンサーは、もう30年近くコンテンポラリーを踊ってらっしゃる長内真理さん。
最近はカナダのトロントを活動拠点にしてらっしゃるそうだ。

今回の作品は、詩人R.S.トーマスの「Sea-watching」という散文詩にインスパイアされて創ったものだそう。
48歳の女性の身体がこれほどまでに動き、45分間、疲れを見せることなく踊り切ってらっしゃる。
活動を長く続けること、活動できる身体を保つことに敬意を抱く。

公演終了後は海外でダンス公演を行うノウハウやダンス事情を、DMJの田村氏と飯名氏とのトークショウの形で聞かせて頂いた。

実は、私は何にしてもダンスにそれほど興味を持てない。
携帯電話屋の前で踊っている‘ピンクのウサギ’の方が面白いと思えてしまう。
たぶん、その踊りを観せる状況や環境や、こちらの思惑によるものだと思う。

作品を創る場合には、観客の思惑を取り入れるところまで含めて、とどのつまり、演出力。
11時近くになり、飯名氏と共に寒風の蕨商店街を足早に、感想など言い合いながら帰る。

自分の10年後は、はたして… と思う。

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Eitp

  • Author:Eitp
  • Et in terra pax is an theater-performance team formed by the performer Kohya Arimura(有村肯弥) in 1991.
    This is solo project of her.
    The project is combine the silent solo performance with the border transgressive space created by music, art, video, text and lighting, in order to show a manifestation of consciousness and sensitivity.
    And continue to produce a solo stage of her is reading+sounds+Scenic art of a new style in recent.

    "Et in terra pax, hominibus bonae voluntatis."
    〈And peace in the earth, for the good faith people.〉

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