Et in terra pax official BLOG | 2023年06月22日 <font face="Optima">Et i terra pax official BLOG</font>

🔵 映像作品『 Encephalon chat 』コンセプトノート

encephalon chat

《歌詞について》※全作品共通

どこの国や地域の言語でも、必ずそれぞれの言葉が「記号」として成り立っているものですが、そのように認識されている「記号」を除いて、"言語として解読できないもの" にすることで、声の抑揚や話している人の感情、または雰囲気のみで、何を言おうとしているのか表してみる、伝えてみる、という試みです。
これまで演出面において、独自の世界観を作った上で「メタ朗読」を行ってきた私ですが、日本語のテキストを読むにしても、その語りが音楽的に聴こえることを切要としてきた者としては、今回の手法をぜひ音楽として表現してみたいと考えました。
その手法を用いることによって、「国境を越える」という「音楽の特性」へ、さらに近づいた "新しい言語" のように、Audience の皆さんへ受け取っていただければ嬉しく思います。



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《タイトルと内容について》


『 Encephalon chat 』ー 続く頭の中での会話 ー


とても話したい誰かが、そこにいない時、
どうしても会いたいのに、どうしても会えない時、
あなたは “脳内でその人物と会話” してみることが、あるでしょうか…


ー 脳内で誰かと話す ー

一般的に「脳内会話」と呼ばれるそれは、専門分野では「内部的対話 / 内的言語 / 内部モノローグ」等の名称を以て現象として語られていますが、人々が内部的に会話するかどうかは個人の経験や状況によって異なるため、それを日常的に行う人の割合を統一的な数値で示すのは難しいとされ、脳科学、脳神経科学、心理学が安定した進歩を辿る今日でさえ、「脳内会話」の実態を掴む道のりは険しいと言われています。

「脳内会話」は、自らの心を意識的にコントロールする研究の第一人者として知られる心理学者 Ethan Kross 教授の著書『Chatter』によると「内省」を意味するものであり、それによって身につけたスキルは、どんな困難をも乗り越える助けとなり得るとの記述があります。
しかしその後の堅実な研究により、苦痛を感じている際に内省を試みても、それは有害無益で仕事のパフォーマンスを低下させ、適切な判断力の働きを阻害したり、暴力性・攻撃性の助長や、人間関係に悪影響を及ぼすこと等が明らかになっただけでなく、その人自身のメンタルや体調悪化のリスクを高めることもある、ということが新たに判ってきました。

脳内で相手と話し続ける人の場合、その行為には、言語処理、記憶、注意、推論などの脳機能が関与し、なお且つ、脳の異なる領域や神経回路網が協力しなければ実現され得ないくらい、複雑なプロセスを経て行われているそうです。
精神状態や心理状態は個人によって異なりますが、それらには脳の神経活動や神経伝達物質のバランスが関与していると考えられ、脳内の神経細胞(ニューロン)が電気信号と化学物質を使って情報を伝達し、それによって思考や感情が生じている事は、もはや自明とされています。
そして脳のキャパシティーを多く用いたそれら機能を日々酷使するということは、先に申し上げたように、良くも悪くも、その人自身に多大な影響を与えているであろうということは、想像に難くありません。

そのようにして生じた脳内空間で繰り返される誰かとの会話は、おそらく既に、その人のパーソナリティーを形成する大切な時間となっているのではないでしょうか…
そしてもしかすると、実際会って会話するより、脳内ではよりダイレクトで純度の高いカンバセーションが可能なのかもしれません。
想定した相手と脳内にこもり、想像による受け答えを続けて紡がれた時間の中で、その人は成長し、癒され、苦悩し、喜び、憎み、… あらゆるプロセスが血肉となってその人をさらに形作っていくのでしょう…
想定した相手との誰にも邪魔されない時間の中で、相手との未来を夢想し、関係を育み、幸せを得るのかもしれません…
その行為は相手への愛着の表れかもしれませんし、
あるいは長い時間と労力をかけた、未来へのシミュレーションなのかもしれません。
そこを出て、対象と対峙する時が来ますように…
彼の頭の中へ、対象からの願いが届きますように…

“ いつの日か僕の想像は、すべて現実に変わります。”

▪︎ Encephalon chat - Kohya Arimura feat. Tomoko Sugimoto https://youtu.be/jThVkZ4IlbA





〈with Special thanks and respect to Tomoko Sugimoto for her video & sound big cooperation.〉

▪︎ Tomoko Sugimoto vimeo https://vimeo.com/tomokosugimoto
▪︎ Tomoko Sugimoto instagram
  https://www.instagram.com/tomokosugimoto/



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杉本智子さんから制作メモをいただいています。

「有村さんのsoundソースを聞いた時、声の音や息で区切られている "bitのようなもの" として伝わってきました。
bitとはコンピューター上での "情報の世界最小単位" のことですが、そのデータを映像と組み合わせたら...そう映像は "粒子" のようなものであると考えます。映像に何が写っているかということにとらわれない映像を作り、映像も音もここに現れたbitや粒子が瞬間集い蠢いては、また次の瞬間消滅するような... さらにはどうしても集ってしまう何か...
それらと一緒に居ながら映像と音を編集しました」


杉本さんの本質的心象と偶有的属性を備えた物体映像、そして瑞々しいエディットにより紡がれた音声が織りなす、絶妙な作品世界をご堪能ください。














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Eitp

  • Author:Eitp
  • Et in terra pax is an theater-performance team formed by the performer Kohya Arimura(有村肯弥) in 1991.
    This is solo project of her.
    The project is combine the silent solo performance with the border transgressive space created by music, art, video, text and lighting, in order to show a manifestation of consciousness and sensitivity.
    And continue to produce a solo stage of her is reading+sounds+Scenic art of a new style in recent.

    "Et in terra pax, hominibus bonae voluntatis."
    〈And peace in the earth, for the good faith people.〉

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